グラビヤ
医療ゼロ地帯—ゆらぐ,インターン制度
pp.17-19
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913101
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昨年来,ジャーナリズムをにぎわしている,いわゆる“インターン制度”廃止の問題は,現代日本の医療積年の病弊が,今やだれの目にも明きらかな事実となりつつある象徴的課題にほかならない。それは単に医学生の経済的要求にとどまらず,進歩してやまない科学発展して止まない医学を,現在の“大学医局制度”では,もはや支えきれないどたん場まで追いこまれたという,深刻な事態を物語るものといえよう。
医科歯科大,順天堂大,その他の国立大学まで波紋は波紋を呼び,“インターン制度”廃止のシュプレヒコールは,ついに本年初頭,医学の総本山に波及するに至り,その頂点に達した。卆業をひかえた4年生らによる卆業試験ボイコット,あるいはストライキなど,その決意のほどを示す強固な戦術をもって,全面的な斗争がくりひろげられているが,これは,ひとり医療界のみの関心事ではありえず広く国民全体の医療であることと考え合わせると,わが国民的な課題として,私たちの目の前につきつけられた問題といわねばならないのではなかろうか──“白い巨塔”をゆるがさんばかりにあがった緘声は,社会の片隅での出来事にとどまらず,大きな社会問題のひとつとして,こだまは長い尾をひいていた。
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