ナースひとり世界を行く・11
エトランゼ生活におもう
菅 和子
1
1元東京女子医大病院
pp.64-65
発行日 1968年2月1日
Published Date 1968/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913876
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/無謀な無銭旅行者/
アフリカで日本の18歳の女の子に会った。無銭旅行でポルトガルまで来て,どこへでもつれていってくれるならと,アフリカ行きの船に乗ったという。降りたところがアビジャン,日本の漁船がいるので,そこで働こうと思ったそうだ。だいたい漁船で女が働けるかどうか,常識で考えてもわかるはずなのだが……。だめだとなれば駐在員に泣きつき,そして領事館にまわされる。マドリッドの大使館では,「まるで家出人の集まり場所だ」といっていたが,この大胆な子もそのたぐいの一人。「自分の視野を広めたいし,日本からどうしても脱出したかったから」といっていたが,これほど人びとに迷惑かけながらなにが視野を広められたというのだろう。まだあどけなさの残る女の子なのに,この大胆さはどこから生まれるのだろうかと驚かされた。結局,彼女はポルトガルの小さな客船で働きながら,1か月後にまたポルトガルに帰されてしまった。その後どうしたか知る由もない。
これなどまだまだよい方で,さんざん他人を踏み倒すようなことをする女性もいたようだ。私が知っているだけでも4人いた。こんなまねは絶対にしてはならないと思う。
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