看護婦さんへの手紙
アフリカの奥地で働くナース
桂 ユキ子
pp.13
発行日 1965年4月1日
Published Date 1965/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913548
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先年私がしばらくの間滞在した中央アフリカの奥地のバンバリという町には,原住民のためにフランス政府がたてた施療院があり,一人のフランス人の院長のもとに,2人のフランス人看護婦がそこで毎日忙しく働らいていました。川で丸木船に乗っているところを船もろともカバにおそわれたケガ人,マラリヤ,象皮病,熱帯カイヨウなど患者は種々雑多でした。
近代医学の知識などまったくないこれらの患者は,およそ看護婦にとって,もっとも厄介な手数のかかる人たちのように見うけました。おまけに患者の家族は家財道具一さいを病院の庭に持ちこんで,患者が退院するまで野宿をする習慣があり,庭は昼も夜もハダカの子供や赤ん坊の泣き声笑い声でごったかえし,時には看護婦がその人たちの飲み水や食物の世話までしてやらなければならないというありさまでした。寸暇もないとはこのことで,看護婦の睡眠は平均3,4時間ぐらいのようでした。
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