特集 人に死を招く動物—人・昆虫・寄生虫
ツェツェバエ—アフリカ睡眠病(アフリカトリパノソーマ症)
菅沼 啓輔
1
,
北 潔
2
1帯広畜産大学グローバルアグロメディシン研究センター・原虫病研究センター
2長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科
pp.129-134
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208608
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ヒトアフリカトリパノソーマ症(Human African Trypanosomiasis;HAT)は知らなくても「睡眠病」はご存じの方が多いのではないだろうか.HAT(睡眠病)はその名の通りアフリカ大陸の風土病であり,最終的に昏睡に陥り死亡する.病原原虫はTrypanosoma brucei rhodesienseもしくはT. b. gambienseであり,HAT患者の血中には活発に遊泳する原虫が認められる.アフリカ諸国の経済発展に伴い先進国との経済的・人的なつながりが深まるにつれ,輸入感染症としてHATが先進国の医療現場で診断されることもしばしばある.しかし先進国では馴染みのない疾患のため,確定診断が遅れ致死的な経過をたどることも多い.本稿ではHATとその媒介節足動物(ベクター)であるツェツェバエ(Glossina spp.)について概説するとともに,われわれの研究成果を紹介する.
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