看護の趾をたずねて・2
伊豆新島(東京都)
石原 明
1
1横浜市立大
pp.84
発行日 1967年6月1日
Published Date 1967/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913185
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東京から太平洋上、西南へ179キロ。近年ミサイル発射場でとみに名高くなつた新島は,一方では磯づりの舞台でテング連の太公望の間ではだれ知らぬ者もない。観光地としてはそれほど有名ではないが,5月がシーズンで全島ツツジとガクアジサイに包まれ,白砂(この島は地質上特殊な真白の砂である),青松,鳥のさえずる別天地である。土曜の夜に東京・竹芝桟橋を出航すれば,ゆっくり1日遊んで月曜の朝早く隣,便がよければ日曜の夜には帰ってこられるから,数名のグループ旅行にぜひおすすめしたい。
流人の島として江戸時代には1,333人がこの島に送りこまれたという。それつをめぐる哀話も数多く今日に伝えられており,いろいろな遺物もある。人権尊重の今日からみれば驚くほど野蛮であるが,そこには島人の厚い人情や肉親看護のあとが知られるのも,日本看護史のひとコマとして拾いあげなければならない。
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