医学と看護6月のテーマ
心臓手術後の合併症を早期発見するための看護
鈴木 敦子
1
,
上田 貞枝
1
,
下元 恭子
1
,
横見 和喜子
1
,
斉藤 ミヨ子
1
,
宮口 八重
1
1関東逓信病院呼吸器科
pp.59-63
発行日 1967年6月1日
Published Date 1967/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913176
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I.緒言
心臓手術直後の患者は心臓を含む呼吸循環面はもちろん,その他の各臓器内でも不安定な状況下にある。この不安定から脱し,安定した普通患者の状態まで回復する過程にはいくつかの危機が内にかくされている。特に手術前の病状が悪ければ多くの危険が予測されるし,手術の内容が高度であればあるほど,手術時間,特に血流遮断の時間が長ければ長いほど,術後の体内状態は生理的条件からはずれる可能性が大きい。したがって合併症を含めてのこれら諸問題を早期に的確に把握することが,患者をすみやかに回復の軌道に乗せるためにもっとも大切なことである。この術直後から3〜4日間の間をあずかる回復室看護婦にとっては一刻も油断が許されない。
現在まで多数の心臓手術を経験した施設においては,それぞれの事柄を何らかの手段で早期に発見するよう術後看護の方針が立てられていることと思う。
私たちは今日まで胸部外科看護を行なっていたが,昨年3月当院に心臓外科が開設されたのに伴い,回復室を設けICU体制を整え看護に当たっている。ここで1年間の経験をふり返り,術後看護の中で特に重要な合併症の早期発見・早期処置手段をこうじ,障害を最少に止めたいといろいろ検討を重ね,作成した術後経過表をあげて,看護面からみた術後合併症について述べてみたい。
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