特別研究レポート
適応理論からみた患者の心理・1
上野 矗
1
1東北大学文学部心理学
pp.82-84
発行日 1967年5月1日
Published Date 1967/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913146
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人は,家庭,学校,あるいは職場で各々の生活を毎日営んでいる。ところが,病いにたおれると,日々営んできた生活はたちまち中断されねばならなくなる。特に,結核のような感染疾患であると,長期にわたって病院や療養所に隔離されるので,発病,療養ということも,患者にとって,父母,妻子と一緒に家庭生活すらできないこと,また修学や職業を相当期間放棄することを意味し,したがって,将来の人生に暗い影をみることになり,それに伴ってさまざまな困難がもち上がってくる。
ここでは肺結核患者の心理について,まず「適応理論」から出発し,筆者の療養生活の経験を背景として,いくらかの調査や実験に基づいて,患者が直面しているさまざまな適応困難の姿をとらえ,その必然性を理解し,患者が直面している現実を克服してゆく道を求めていきたい。
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