看護の椅子
求められることと報いられること
寺島 アキ子
pp.13
発行日 1967年2月1日
Published Date 1967/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913023
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一昨々年から昨年まで3年間,私の母はほとんど病院で暮しました。その間,私も毎日病院通いをしたものです。
病人を抱えていると,お医者さんや看護婦さんに気をつかうものです。病気を治してほしい,親身になって看護してほしい,すこしでも優しくしてほしい……そんな気もちから,ついお医者さんや看護婦さんの顔色を見てしまうのです。私も,母の入院中はそうでした。そんな自分の態度がいじましくていやだと思っても,病人に冷たくされたらという恐怖心から,やはりそうせずにはいられないのです。病気の母も,やはり気をつかっていたようでした。随分苦しんでいる時でも,お医者さんや看護婦さんには,笑顔を見せようと努力していたようでした。
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