巻頭随想
お産とドラマ
寺島 アキ子
pp.9
発行日 1965年3月1日
Published Date 1965/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202926
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私は,どうもお産に縁のあるドラマを書かされることが多い.昨年から今年にかけて,TBSラジオで「いのちはぐくむ」という妊婦を主人公にした連続ドラマを書いているし,つい最近も「愛,その奇跡」という,交通事故のために意識不明のまま赤ちゃんを産んだ女性を主人公にしたドラマを,フジテレビ,文化放送(ラジオ),松竹映画に書いた.どうしてこうお産に関係のあるドラマの注文がくるのかなあとときどき考える.この種のものは,数年前ニッポン放送で,妊娠,出産の10か月間をドキュメンタリー・ドラマに書いたのが最初だったように思う.その時は,注文で書いたのではなく,なにかいいテーマはないかときかれ,私はつねづね,10か月間おなかのなかで生命を育て,やがてこの世にその生命を産みだすということは,たいへん平凡なことのようでいて,実はたいへんドラマティックなことではないかと考えていたので,それを書きたいと思い,それをドキュメンタリー・ドラマにまとめることにしたのだった.それを書くために3か月めから出産まで1人の婦人についてまわって,録音をとりまくった.その録音を1時間のドキュメンタリーにまとめたのだった.
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