新連載
やさしい統計学・その1
杉田 暉道
1,2,3
,
津田 忠美
4
1横浜市大(公衆衛生学)
2横浜市立高等看護学院
3横浜市立准看護学院
4横浜市大医学部公衆衛生学
pp.54-58
発行日 1967年1月1日
Published Date 1967/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913000
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はじめに
一般に統計というと,何かわれわれの生活とは別な学問と考えがちである。現にまたそう考えている人がきわめて多い。しかし,現在ほど統計が重んじられている時はないだろう。1例をあげれば,電車賃やガス代は統計的な操作からきめられていることは案外知られていない。また厚生白書,経済白書その他の白書というものがそれぞれの官庁から毎年出されているが,厚生白書によって,わが国の健康状態および医療状況その他病気に関係あることがらが明らかになり,経済白書によってわが国の経済水準および将来の経済の見通しなどが明らかになる。これらの白書はすべて統計的な処理がその骨格をなしているのである。またラッシュ・アワーの中で各駅とも最も混雑する時間はわずかに30分間であるが,これも統計学的な調査方法によってはじめて明らかになったものである。ところがわれわれの従事している医療関係は,他の分野に比べるともっとも統計を利用していないといえる。これにはいろいろな原因が考えられるが一番大きな障害になっているものは,医師または看護婦を養成する教育制度と卒業後の指導制度に欠陥があると考えられる。もっと端的にいえば,医業にたずさわるものは封建制度の社会にあるということである。
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