特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第4部 生活を豊かにするために
映画の上手な見方
外輪 哲也
pp.173-175
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912576
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まず初歩的なことだが,上映中に途中から見始めて,次の回にそこまで見て前後を頭の中でつなぎあわせるという,ずいぶん割りの悪い見方をしている人が意外に多い。映画はその方法でも文学より理解は容易だが,やはり起承転結の順序を追つて見ないと,面白さや感銘が半減する。次に,映画の醍醐味を十分味わいたいなら一流館で見なさいとおすすめする。これに対しては,ナースの勤務体制や給与体系からは,時間的にも経済的にも無理だという反論があろう。実際,ナースの生活体制には,気の早いジャーナリズムが騒ぐ「レジヤー」とかを楽しむ余裕はないにもかかわらず一流館をすすめるのは,雰囲気とか衛生的理由にもよるが,小さい映画館では大型画面や立体音響が完全に再生されていないという実情があるからである。大型スクリーンは,正座して顔を動かさず視角いつぱいに画面が入る位置の座席が,もつとも迫力が楽しめる。2,3本立ての名画館で見る時は,欲張らずに見たいと思う作品を一本だけ選択して見ることが肝要だろう。何本も一時に見ると,内容が混同したり感銘が稀薄になつたりもするが,何よりも空気の悪い映画館で5,6時間も視聴覚を刺激されるのは,相当の疲労になる。生命に関する仕事にたずさわり,細心な神経を必要とする職業人は娯楽が疲労にならぬようコントロールが必要ではないかと思う。「数」や「量」が望みならのんびりとテレビ,映画は「質」で見るのが理想的だと言えよう。
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