映画評
花のれん(宝塚映画作品)
外輪 哲也
pp.55
発行日 1959年3月10日
Published Date 1959/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201833
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話題の「花のれん」をご覧になりましたか? 今月は遅まきながら,この大阪女を描いた「花のれん」の批評をやつてみましよう.
言うまでもなく,これは第三十九同直木賞を獲得した山崎豊子著「花のれん」(中央公論連載)の同名映画化で,同著者の,「暖簾」(川島雄三演出・宝塚映画)の女性版とでもいうべき内容のものです.脚色を「暖簾」「絶唱」などの八住利雄がやり,演出は,「おはん」を撮影中止した豊田四郎.このコンビにとつては,かつての佳作「夫婦善哉」「猫と庄造と二人のをんな」につぐ大阪物ですが,「夫婦善哉」に近い作品になつています.その「夫婦善哉」には今一歩およばない感もしますが,何はともあれ大阪物で定説のある豊田監督の手にかかつたものだけに,見ごたえのあるものになつています.本年度上半期の問題作だと言つていいでしよう.
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