特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第1部 職場の能率をあげるために
Ⅱ看護用具の工夫と夢か
患者運搬用具について
滝沢 春枝
1
1都立大久保病院看護科
pp.52-53
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912533
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一日の看護の仕事を一寸分析してみても「患者運搬」には相当の時間と入手がとられていることに気付く。早朝サイレンの音とともに救急患者を救急室へ運搬,また入退院患者の送り迎え,手術分娩,治療のためにそれぞれの室へ,諸検査のために所定の室へと,これらの運搬には往復の操作に加えて運搬用具(主にストレッチャー,担架,腰掛車)からベッド,あるいは処置台,分娩台,手術台などへ患者を移す技術的操作が必要で,距離的にも室内での敷布交換,ベッド交換時の運搬から,遠いものは病院の端から端まで,最上階から地下までと,計画外の時間をかけ,一日のうち何回となくこの操作がくり返されているのが,何処の病院でも同じ現状であろうと思う。
運搬の対象である患者の状態に応じた運搬法について,その都度細かい注意を払い,運搬から起こる患者の疲労,苦痛,その他の障害を最少限度に止めるためのいろいろの工夫が考えられてはいるが,こうして改めて取り上げてみると,まだまだ工夫が足りなかつたり,人手不足,時間的余裕のなさから,つい在来の方法で,ともすると直接看護に手を取られる結果,急いで運ぶ荷物運搬のような傾向にもなり兼ねない。管理的な立場から患者の安全と働く入々の労力の無駄を省き,より効果的な方法をあらゆる角度から考案,検討する必要は大いにある。
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