特集 看護婦の勤務と生活の合理化
第1部 職場の能率をあげるために
Ⅰ職場環境をどう整えるか
職場におけるからだの使い方
倉田 正一
1
1慶応義塾大学医学部衛生学教室
pp.22-24
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912520
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私たちは職場でも家でも大なり小なり絶えずエネルギーを消費しながら動きまわつている。寝ている間でさえエネルギー消費はつづいている。このエネルギーは無限ではない。毎日その供給源を補給しなければならない。こうなるとだれでもエネルギーを大切にむだなく使いたくなつてくるであろう。よく「あの人は横のものを縦にもしない」という。実際横のものを縦にするには,筋肉の絶大な協調が必要であり,中枢の制御活動が活溌に行われなければならない。中枢は絶えず手の位置や動きをしつて運動を修正しながら正しい動作を行なわせるのである。したがつて,このような簡単な動作にもどのようにして横のものを縦にするか,その方法によつて消費エネルギーが違つてくるし,数量と時間によつては疲労の仕方,仕事の能率に関係してくる。決して不精をすすめている訳ではないが,こうした小さなむだな仕事も積み重なるとエネルギーの浪費となることを指摘したいのである。
そこで私たちは日常生活の中で限られたエネルギーをできるだけむだなくじようずに使うにはどうすればよいか,どんな点に注意したらよいかをあらためて考えてみる必要がある。
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