連載 中井久夫連続講義・6
回復初期は、からだに注目
中井 久夫
1
1兵庫県こころのケアセンター
pp.72-79
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100305
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「健康な生活面」を見ることの難しさ
揺り戻しがあることを念頭におく
前回は、病気がよくなろうとすると、それを引き戻しにかかる力がはたらくという話をして終わったと思います。これは別に不思議なことではなくて、心もからだも現状を維持しようとする力が非常に大きいからです。ホメオスタシスという言葉がありますが、そういうことです。それゆえの揺り戻しですね。
回復にはいろいろな段階がありますが、これをもっと細かく見てみると、「大きく変化する時期」と「現状維持が長い時期」が交替して現れます。変化が大きいときは、よい芽と悪い芽の両方があると考えたほうがいい。つまりよくなるチャンスでもあるけれども、悪くなるチャンスでもある。
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