看護□人間の工学
からだのディメンジオン
倉田 正一
1
1慶応義塾大学病院管理学
pp.70-71
発行日 1965年9月1日
Published Date 1965/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913724
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○からだに合った
ものを使うために
われわれは既製服,既製靴はからだにぴったり合わないものときめてかかっている。しかし,これは洋服屋や靴屋がわれわれの寸法をよく知らないから適当に見当をつけて作ったにすぎないのであって,悪いのは洋服屋や靴屋で,われわれではない。これと同様に毎日の仕事の上で使っているいろいろな「もの」の中にも私達に合っていないものがたくさんある。昔軍隊では「からだを洋服に合わせろ」と古兵か新兵にどなつたものであるが,これはいただけない考え方であろう。ここで私どもが考えなくてはならないのは,からだに合わないものを仕方がないとあきらめ,または無批判に受入れてしまうことである。これでは仕事にも影響するところが大きいし,第一デザインはいつまでたってもよくならない。ブーブーとその非をならしせめ立てることである。メーカーの再考を求めることである。それにはどこがどのように合わないか,どうして困るかを説明してやる必要があろうし,メーカーまで行かなくても自分の工夫で直せるものは直す努力も必要である。そのためには,からだのディメンジオンを知っておく必要がある。ここで特にディメンジオンというのは,いままで骨の計測はたくさん行なわれているが「からだの空間的なひろがり」についての測定値がまことに不十分であったからである。たとえば,5人掛けのベンチの長さは何を基準としてきめられるだろうか。
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