講座
無機質の栄養
內田 槇男
1
1阪大医学部
pp.20-23
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912489
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Ⅰ
無機質が栄養上どんな立場を占めるかを最初に検討して見よう。人体を構成する元素は約20種―最近のスペクトル検索では55種を下らない―で主なものの組成は下に示す通りであるが,この中C,H,N,O,Sの5種は先ず有機栄養素で供給され,其の他は主として食物中の無機塩,所謂鉱物質mineralsとして体内に取り入れられる。
上の組成を見ても凡そ見当はつくが,此処で此等の鉱物元素をその体需要量から眺めると,量的にかなり大きな差異のあることに気がつく。Ca,Mg,Na,K,P,Cl,Sの樣に相当大きな量を要求されるものがあるかと思うと,一方Fe,Cu,I,Mn,Co,Zn等は微量乃至痕跡ですむ。この点は何も無機質だけに限つたものでなく,他の栄養素間でも見られる。例えば蛋白,糖,脂質の需要量はgm単位であるが,ビタミンに至つては高々mg単位で,その同じビタミンの中でもV. Cの1日需要量は他のものがγ単位のときに40〜60mgでその大きさに大約1000倍程度の開きが容易に見付けられる。從つてとても痕跡程度ではない。
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