講座
躁鬱病について
関根 眞一
1
1國立武藏療養所
pp.24-27
発行日 1953年11月15日
Published Date 1953/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912490
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躁うつ病は内因性の精神病のうちで精神分裂病についで多く見られるものである。それらの内因性のものには遺伝的負因が考慮されているが,躁うつ病は精神分裂病に比較して,一層その負因が荷重されているようにいわれている。それらの疾患の數は出現頻度から推算して見ると,精神分裂病は全人口比約0.4%の罹病率になつているが,躁うつ病は0.3%となり,やゝ低率になつている。男女の割合は著しい差はないが,いずれが多いかといえば,女の方がやゝ多いともいわれている。発病の年齢は若年者には少く20歳以後から多くなる。精神病院の入院患者も見ると躁うつ病患者は割合少いもので,普通4〜5%位しか居らないのも週期性のものであるから,結局在院期間も短くなるためである。
躁うつ病という一般概念は躁病とうつ病とを週期的に反復する病氣で循環性精神病とでもいうべきものである。その中間期間は全く正常の状態に復帰するものである。しかし中には反復することなしに,独立に單独症状で終るものもある。
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