想園
その歩みはのろくとも
大屋 公子
1
1国立佐賀療養所
pp.71
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912308
- 有料閲覧
- 文献概要
夜間高校を卒葉して1か月。時間に恵れるということは,なんとすばらしいものだとひとりで満足感に浸りながら……。
まだ在学中,こんな質問をよく受けた。「なぜ夜間高校に行こうと思ったの?」中学校を卒業して5年半もして,どうして高校に行こうと考えだしたのか,それは私なりの動機があってのことだった。中学を卒業,いま私が勤務している療養所の付属准看護学院に入学が許可され,白紙に等しい考えしか持ちあわせていなかった私は,ただ夢中で看護婦になるための講義,一般教養科目や,専門学科と臨床実習とで,2か年間の学院生活は,またたくまに過ぎた。検定試験を受け,准看護婦として,養成されたところで社会人として温床の中にいるような気安さで3か年を勤務。そうしているうちに進学コースという道が,新設されあやうく入学することができた。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.