精神身体医学講座・2
心と体
中川 哲也
1
1九州大学医学部,心療内科
pp.56-60
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912273
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1.はじめに
「病は気から」という諺からもうかがわれるように,人びとは昔から「心と病」の関係に気づいてはいた。しかし,そうした漠然とした考えから今日の精神身体医学(心身医学)に発展してくるまでには,「心と体」の結びつきについての生理学的研究や,「心と病」についての実証的研究が大きな役割をはたしてきたのである。これらの科学的研究の進歩によって古くから経験的に会得され,また新しくは精神分析などによってさぐり当てられてきた「心と病」の結びつきについての多くの知識に,科学的裏づけが与えられ,また逆に心理的解釈の行き過ぎや誤りが指摘されるようになった点も少なくない。
このような確実な科学的なよりどころの上に「心と体」「心と病」の問題を考えていくとき,はじめて心身医学の正しい発展が期待されるものといえよう。
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