アドバイスコーナー
大きなテーマをとり上げた勇気に感服—“貧困を看護する”をよんで
吉田 秀夫
1
1法政大学
pp.44-46
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912113
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■はじめに
ここ数年来とくにひどくなった医療従事者,とくに看護婦不足という状態は,きびしい労働強化をしいているようです。昭和35年春から36年の春にかけて激突した全国的な公私の病院ストライキ—このような規模と中身でのストライキは,国際的にも異例のことでしたが—によってわが国の医療機関がどのような窮状にあるのか,とくに看護婦の生活は,第二近江絹糸事件ではないかと思われるほど,低賃金と無権利であることがそのころのマスコミでこそ,するどく指摘するところでありました。私自身そのころ,またそののちも全国の国立,公立,公的といわれるかなりの病院の実態にふれる機会を得てきました。そして多くの看護婦さんたちのなやみや不満,こうしてほしいという希望をたくさんきかされてきました。このようなはげしい波にこの千葉県国立国府台病院の看護婦さんたちも大なり小なり影響され,洗われたにちがいないと思います。たしか病院ストライキによって看護婦さんたちの賃金は,かなり改善をみましたが,とうてい一連の物価高や税,それに専門職という立場からいえば,他の産業からみてまだまだ大きなへだたりがあります。
ところがいま絶対的に不足している看護婦対策は,しっかりきめ手のないままに放任され,ますます深まっています。たいへんな労働強化がしいられています。
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