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グラビヤ
ヘレン・ケラーを育てた教師の記録—映画『奇跡の人』
THE MIRACLE WORKER
pp.5-12
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912052
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めくらで,つんぼで,おし—人生の三重苦を負いながら,すぐれた学者となり,世界中の人々に勇気と希望を与えたヘレン・ケラー女史に,人間性の光を投げかけた若い女教師アニー・サリバンの愛の物語である。色も音もない暗黒の世界にさ迷う,ただ動物的な本能に支えられた少女を,三重苦の地獄から救い出し,物ごとの秩序を教えることは《奇跡》と呼ぶにふさわしい難事であった。そして,この《奇跡》を生んだものは,自らも盲目の過去を持つアニーが,ヘレンの中にもがいている《人間への愛情》をとらえたことにほかならなかった。
この映画が公開された時,アメリカ全土は絶賛の嵐につつまれた。人間性の美しさ,すばらしさを,これほどみごとに描き上げた映画は今までになかったからです。そして,アニー・サリバンを演じたアン・バンクロフトにはアカデミー主演女優賞が,ヘレン・ケラーを演じたパティ・デュークにはアカデミー助演女優賞が送られました。愛の美しさと厳しさを教えるこの映画は,看護へのよき示唆となるでしょう。こうした看護の《奇跡》も,すでに,どこかで起こっているのではないでしょうか。
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