医学講座
海水浴の注意と救急処置
手島 宰三
1,2,3
1社会保険
2小倉記念病院
3整形外科災害研究会
pp.58-60
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911997
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1.日焼け(日光紅斑)と色素沈着
世間では三伏の猛暑に皮膚をさらし,真黒に日やけすると皮膚が丈夫になり,冬風邪をひかぬと信じている人がなお多いものです。過度に直射紫外線を受けると,かえって全身および皮膚に害を及ぼします。虚弱な者,慢性消粍性疾患をもつ者や,湿疹など皮膚病にかかっている人では明らかに悪影響があり,病状は悪化します。それでなくても肌は荒れ,固くなって,しわが目だって黒く色素が沈着します。しみやそばかすのある人はもちろんのこと「ひぶくれ」や日やけを避けたい人は「日やけ止めクリーム」や亜鉛華オリーブ油(チンク油)を塗り,パラソルなどで直射日光を避けるのがよろしい。日光紅斑やひぶくれでひりひり痛むためにねむれない時には,重曹水の冷湿布を10分も行なえば痛みは消退します。
2.はなはだしい疲労
前日から過労状態であるにもかかわらず,じゅうぶんに休息せずに泳いだり,力量以上に長距離または競泳した場合や,寒さや水のつめたさに体力を消耗した場合に,普通以上の疲れ方をしめし,日ごろはわけなく泳げる距離でも,また足の届くような浅いところでも,体力をすっかりつかい果たしているためにお匠れそうになることがあります。山でも海でも同じようなことがあり,水中で50mの力泳は陸上でその5倍の250mを全速力で駆けたと同じくらいに疲労することを念頭に置き,余裕のある運動をしなくてはなりません。
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