医学講座
海水浴の注意と救急処置
手島 宰三
1,2
1社会保険小倉記念病院
2整形外科災害研究会
pp.46-50
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911972
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水泳の運動生理と衛生
1)体力の消耗
水泳は激しい全身運動ですから,適度に泳げば理想的な運動で,一種の美容体操だといわれています。しかし単に水につかり,浮いているだけでも冷めたい水により絶えず多量の熱量が消粍されています。エネルギー代謝率(R.M.R)で比較してみますと,軽労働0〜1,重労働4〜7,100m自由型水泳は41.4で非常に体力を消粍する運動です。海水浴では水につかるだけでなく暑気にあたり,海浜ではげしい運動をしますから,これらを総計しますとはなはだしい体力の消粍になります。
2)循環障害
水につかると急激に体温の放散があり,皮膚の血管は収縮し,血行が悪くなって,血液が内臓に偏在します。脳の血行は悪くなるため,体温の調節が乱れてきますし心臓の負担が非常に大きくなります。おまけに激しい運動は心臓をむち打たざるを得ないために心臓は過労状態となり,チアノーゼを現わします。予備力のある人では負担に打ち勝って,ある程度克服できますが,予備力の弱い人では循環失調状態に陥りやすく,いちど起きた血液循環障害は,悪い結果を続発する傾向があります。
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