医学講座
調査における質問のつくり方
三橋 修
1
1日本リサーチセンター
pp.46-49
発行日 1963年8月1日
Published Date 1963/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911994
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私は,ふつうの人より健康である。起きられないで床にっくことは,1年に2日とない。だから日ごろ偉そうに“科学的”なような言辞を弄しながらいまだに,何かのおりにちょっと気分でも悪くなって,まあ注射の1本もしてもらえばよくなるよなどと人にすすめられて病院へいき,さあベッドに横になって,とかなんとかやさしくいわれればいわれるだけ,何となくそら恐ろしくなってきて,ついには太い注射器を目の前にすると,看護婦さんの腕をつかんでやめてもらいたい衝動をいつも感じる。はなはだ“非科学的”な男である。こんな具合だから,私の日常生活の平面には,あまり病院関係の方たちははいって来ない。それがひょんなことで,看護婦さんの間でも調査活動が盛んになって来ているときいて,それまでの平面的距離が,一気に克服されてしまった思いがした。日ごろの偉そうな“科学的言辞”のほうである調査の方法に関する私の知識が,みなさんの調査活動をみのり豊かにする一助となれば,この上ない幸いである。
基本的な態度
何を知りたいのかを明確にすること—質問をつくるにあたってまず第一にこれがたいせつである。この点は,いくら強調してもしすぎることはない。質問紙による調査は正直である。きいたことしか結果に出てこない。だから大事なポイントを抜かしたり,質問のやり方がまずかったりすれば,いくらたくさんの回答があつまったところで,何も集まっていないに等しい。
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