医学講座
異常性格の傾向とその看護にあたっての注意
安永 浩
1
1東京大学分院神経科
pp.78-81
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911980
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犯罪精神医学の立場から
「犯罪者」というのは十ぱ一からげの名称である。刑務所などでしばらく働いてみれば,受刑者のなかに実にいろいろなタイプの人びとが含まれていること,一般社会におけるとほとんど変わりがないのにおどろくだろう。もともと犯罪者とは「法律をおかした」という共通性があるだけなので,心理的に一色であるわけはない。法律の数だけの犯罪型があるし,その一つの犯罪型—たとえば「殺人」—をとってみても,心理的には多種多様の変種が含まれているのである。
だから犯罪名をきいただけで,その人物の性格を予断してはならない。その1人1人と長期間接触し,綿密公平にしらべ上げた人だけが,その人物について何かのべることができるだけである。
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