講座
性格とその異常(3)
高木 四郎
1
1国立精神衞生研究所
pp.46-49
発行日 1956年3月15日
Published Date 1956/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910085
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〔一〕
前号,前々号にわたつて,さまざまな異常性格を挙げ,それらが社会の安寧や個人の幸福にどんなさまたげを与えるかということを述べて来たが本号では性格というものはどのようにしてでき上るか,異常な性格を作らないためにどうしたらよいかということを述べてみよう。これは精神衛生上の大きな問題で,ことに小児を扱う小児科,整形外科,産科等の看護に当つて注意すべき事柄でもある。それは人間の性格の基礎は小児期に築かれると考えられるからである。
性格がどのようにしてでき上るのかということは非常にむずかしい問題で,古来学者の間にもさまざまな議論があつて,なかなかまとまつた結論に達しない。しかし,性格が遺伝的要素と環境的要素,換言すれば先天的要素と後天的要素の両方からでき上つてゆくということはまちがいない。いろいろ意見の相違があつても,この事実はだれも否定できないことである。さまざまな意見の相違は遺伝と環境のいずれに重きをおくか,それぞれの影響の割合をどの程度に考えるかというところから生まれてくるのである。
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