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『看護婦の人間関係』をめぐって—単なる技術ではなく「ものの考え方」として
pp.68-69
発行日 1963年5月1日
Published Date 1963/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911932
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《学生の問題にもふれてほしかった》
看護学生 この本が第三者的な立場で書かれておりますので,私たちにはかえってわかりやすく,おもしろく読むことができました。ナースと学生の関係にふれていないのがもの足りなく思われましたが……。ただ私たちには,もっとはっきりと,「患者と看護婦の関係のあり方」あるいは「同僚間のあり方」をのべていただきたかったように思います。この本には考え方の方向は出ているように思いますが,それを見落とすような気がして不安があります。
A看護婦 おっしゃることは,あなたが学生さんだからという意味でよくわかりますが,私たちにはその考え方の過程の方が必要なんじゃないでしょうか。私たちは「技術教育」のなかで,こう考えなさい,こうしない,という式の指導をうけすぎて,どうしてこうするか—という自分で考えることを失って来ているように思います。この本は,疑問の形で,これはおかしいのではないか,こうあった方がいいのではないか,という問題の提起というか,ある考え方の方向をしめしておりますが,教科書のように「こうしなさい」とはいっていません。けれど,それだからこそ,私たちは自分たちの問題を考えさせられるチャンスを得たと思っています。
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