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特集 循環器系薬剤を見直す—薬剤選択と用量を検証する
カルベジロール—カルベジロールは単なるβ遮断薬か
Carvedilol:a new potent β-blocker with ancillary pharmacological properties
吉川 勉
1
Tsutomu Yoshikawa
1
1慶應義塾大学医学部呼吸循環器内科
1Cardiopulmonary Division, Department of Medicine, Keio University School of Medicine
pp.993-997
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404901974
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はじめに
カルベジロールは慢性心不全患者に対するβ遮断薬治療が脚光を浴びつつあるなかで,大規模試験でその有用性がはじめて明らかにされたことで一躍有名になったβ遮断薬である.その効果は従来の心不全の大規模比較試験では例を見ない65%死亡率減少を示し,安全監視委員会の通告により試験は途中で中止されたということは記憶に新しい.本薬剤は非選択性β遮断薬を第1世代,心臓選択性β遮断薬を第2世代とすると,第3世代のβ遮断薬と呼ばれており,従来のβ遮断薬にはなかったさまざまな薬理学的特性を有する.図1にその化学構造を示すが,β遮断作用に加え,α遮断作用と抗酸化作用を有する.
本稿ではこのβ遮断薬が有する交感神経遮断作用の特徴に加え,血管拡張作用,抗肥大作用,抗酸化作用,アポトーシス抑制作用についても概説する.
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