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看護研究と論文の書き方(3)
土屋 健三郎
1
1慶応大学
pp.66-68
発行日 1963年2月1日
Published Date 1963/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911859
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■□■□はじめに□■□■
医学の進歩とともに看護学もその歩みをとめることがない。医学もそうであるが,看護学はそれ以上に実際の「行為」を要求される。しかしその行為は,あくまでも学問に基づくものでなければならない。そして,そのうえに人格その他の複雑な因子が加わって,始めて行為としての医学や看護学の使命が達成される。
ところで,この「行為」の多い看護は,一方に医学研究,他方に看護学研究をその基盤として成り立つが,行為の要素が前者にくらべてより多いだけに,研究を難かしくしている。もともと,もっとも純粋な自然科学は,人間の頭の中で考えたこと(従来の知識の集積から新しい仮説を生みだすこと)にもとずいて,その考え方が正しいことを立証し,さらにこれを帰納して新しい法則を生みだすことである。その点,医学や看護学はその法則を実際の行為に移さなくてはならないことにより,いっそうの複雑さが存在する。それゆえ,研究の材料のとらえ方,方法,それによって得られた成果を発表する論文内容などが,看護学研究ではいっそう難かしいものになると思われる。
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