特集 患者の求めている看護
患者として見た看護婦—その社会学的分析
姉崎 正平
1
1東京都立大学大学院
pp.20-24
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912204
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序
病院は原則として,入院患者の診療を機能の中心目的として組織されたものである。その病院に患者が入院した場合,その患者の主観的ないし客観的状況を規定するのは次の3つの条件と考えられる。第1に患者の病気の種類,それに伴う治療法や入院期間。第2に患者の個人的特性すなわち年齢,性別,学歴なども含む生育歴,家族的背景や職業的背景,そしてこれらに条件づけられるパーソナリティー。第3に入院した病院の諸条件すなわち規模や設備をはじめ,医療や看護の組織およびこれらの水準である。結局,これら3つの条件により,患者としての入院生活に対する印象も異なると思われる。よって単に1人の患者の体験というのは極めて限られた一例に過ぎないであろう。
ここにその一端を披露するのは,大学院で社会学を専攻し,目下「病院および医療制度の社会学釣考察」というテーマでいくつかの病院を見せていただきながら勉強している筆者が,痔核根治手術のため,今夏2週間,都内のある400数十床の総合病院の外科病棟に入院した時の体験と,これまでの見学などの体験とを織り混ぜての印象記である。何分,以上のような条件の患者の体験であり,あまり一般的でないかも知れないが,本誌のような専門誌に載る入院体験記が概して世間的な著名人のものか,または看護婦という立場からの患者に対する面接やアンケートの結果と相場が決まっているかと思われるので,何かのご参考になれば幸いと思う。
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