特集 外来看護の実情と問題点
1.外来には看護があるか
杉山 晴子
1
1慶応大学病院外来
pp.13-14
発行日 1962年8月15日
Published Date 1962/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911694
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外来での看護……このことを真に考え出したのはちょうど2年前のことであるが,いまだに「ハイこれです」といえない状態でそのむずかしさに直面している。当時外来看護について,こんなことを討議しあったことがある。外来患者の欲求することの多くは何であろう。(早く診療を受けて帰りたい……願望,自分の病気は何であろうか……不安),ナースの目から見た患者像,外来診療と病棟診療,または病棟医師と外来医師のちがい,患者中心に外来を考えた場合ナースは何ができるか。または患者によい診療が受けられるようにするためにナース自身は何をするか等々の事柄であた。その折にまず外来で患者が置かれている環境にどんな理解をもったらよいか,もつべきであろうかについて,こんな意見が出た。近年病院は疾病の予防が外来診療面に活発になってきた。また国民皆保険の影響から,病院を利用する人々はますますふえて大病院のように長く待たせる。事務的で温みがないといわれても診断治療施設の完備した大病院を利用する傾向の多いことは,合理主義を好む現代人気質の反映するところでもあろうか。長椅子に自分の腰かける場をやっと得て,騒がしい雑踏の場ともいえる外来診察室領域で待つまも,病院に対する不馴れや余りの混雑に驚き,疲れ,いらだちなど外来患者の誰もが体験することであろう。また診療の専門分科体制により患者は往々数科の診察室へ回されるなど,患者の心身への負担は大きい。
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