特集 看護業務の向上をさぐる—その検討の中から
Ⅳ.何を新たに学ばねばならないか
医学の発展とともに
麻酔ドクターから/麻酔ナースから
古川 哲二
1
1順天堂大学
pp.101-105
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911659
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はじめに
病院における患者の治療は,医師看護婦,その他医療従事者の共同作業であって,それぞれの受持つ範囲は自ら定められている。そして治療法の進歩,社会制度,生活環境の変遷に従って各々の仕事の内容も変って行く。麻酔にしても,近年急にでき上ったもののように思われがちであるが,実は昔からあったものが,単なる経験の集積から脱却して,より合理的な治療形式をとったに過ぎない。これは麻酔医が麻酔剤をいかに有効に与えるか,またその一つ一つが患者にどのような影響を及ぼすかと考えた結果であって,このような考え方は凡ての分野に共通するものであろう。
医療従事者にそれぞれの分があると言っても,窮局の目的は患者の治療ということにしぼられるから,お互いの仕事の間にある程度の重複があるのは当然で,医師と看護婦の間を例にとると,医師の指示の実施や,看護婦の報告によってする医師の病状に対する判断は,お互いの仕事の内容をある程度理解し,相互にカバーし合うことによってはじめて十分に行われる。
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