臨床検査とその介助
泌尿器科検査とその介助
東福寺 英之
1
1慶応大学
pp.34-41
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911313
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はしがき
泌尿器科は賢,尿管,膀胱,尿道の泌尿器と睾丸,副睾丸(睾上体ともいう)精管,精嚢,前立腺の男子性器の病気を取り扱う一分科である。しかし腎の病気でも特に外科的腎疾患を主とする外科的領域の科目であり,女性性器等は婦人科領域に属する。近来は扁側性腎性高血圧,副腎等の疾患も取り扱うようになつてきたため内科的諸検査もこの領域に導入されてきた。
以上のように尿性器等の特殊な部位すなわち恥部を取り扱う関係上この領域の検査すなわち診察,臨床検査の介助は患者の予診をとる時から始まるといつても過言ではない。すなわち多くの泌尿器科患者は恥しさ等のため要領のえない訴えが少くなくなく,また十分その訴えを述べない場合が多い。そのため患者の介助に当るものはこの点を十分に理解し,患者の立場を認識して患者の気持をやわらげ落つかせて安心感と信頼感を与えて,医師が十分に診察できるような雰囲気と諸臨床検査に必要にしてかつ十分な材料を得るようにしなければならない。これには診察検査室の整備はもちろん,診察時患者に恥しい気持を起させないよう言辞,態度に注意し,また診察台の配置に気を使わなくてはならない。一方検査物が尿,精液等である関係上常に検査台の整頓により検査物の混乱,間違いの起らぬようまた検査物をこぼしたり,散らさないよう清潔に細心の注意が必要である。
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