連載小説
胎動期〈最終回〉
十津川 光子
,
久米 宏一
pp.65-70
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911268
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無実の罪で牢につながれていた囚人が遇然に真犯人が見つかつたために釈放されたといういつだつたかの新聞記事を春子は記憶している。
潔白な身であるのに何故それを主張できなかつたのだろう。本当に罪を犯さない自信があるのなら,牢につながれることを断固として拒否できるのではないか……という考えが長い間春子の頭にあつたからだ。
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