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脳軟化症とその看護〔3〕
安芸 基雄
1
1虎ノ門病院内科
pp.41-45
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911260
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Ⅱ.看護の実際,後遺症に対する処置
前回にも既に申し上げたことでありますが,脳軟化症でもその犯された部位によつて症状もまちまちであり,従つて後遺症も決して単一なものではありません。けれども普通には中気といえばすぐ半身不随を思い出すように,片麻痺が後遺症としては一番重要なものでありますから,これについて主に申し上げることにいたします。
本来この麻痺は,脳の実質的な組織の損傷に対応するものである限りは根本的にはなおりません。けれども実際には例えば出血が吸収されるとか,周囲の浮腫がとれるとか,他の健全な組織によりある程度機能が代償されるとかの過程によつて,時間とともに麻痺が軽快するのは日常しばしば見るところでありまして,場合によつては麻痺がほとんどあとかたなく消えてしまうこともあり得ぬことではないのです。けれども実際問題としてある程度の麻痺を残すのは,寧ろ普通のことであり,わが国のように脳卒中の多いところでは,1つの社会問題としてでもこの問題が真剣に考慮されねばならぬ理由があるのであります。
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