新看護学
胆道及び胆嚢疾患の病態生理(2)
阿部 正和
pp.59-65
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910737
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4.胆嚢造影法(cholecystography)
1924年GrahamとColeは,フエノールフタレインに塩素を添加した色素が,選択的に肝臓から排泄され,胆嚢内で濃縮され,しかもX線に影としてうつし出されることを発見した。現在では,胆嚢造影剤としては,経口的に投与するものとしてプライオダツクス(priodax),及びテレパーク(telepaque)が,静脈内に注射するものとしては,もつぱらビリグラフイン(biligrafin)が使われている。
テレパークを服用すると同時に,オデイの括約筋を収縮させる目的でモルヒネを投与すると,造影剤は総胆管に貯留したままで,腸内へ排泄されないので,肝外胆道が造影される。胆嚢を剔出した後に,なお胆道に結石がのこつているかもしれないという場合には,この方法がよく用いられる。テレパークの代りに,経静脈的にビリグラフインを投与すると,肝外胆道が造影されやすい。このビリグラフインは,肝臓内で濃縮されるので,造影剤が胆嚢に入らなくても,胆道が造影されるわけである。ビリグラフインは高価で,しかも静脈内に投与する不便さがあるので,一般には,胆嚢別出術後,又はテレパークで造影が十分に行えなかつたときにのみ用いられる。
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