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国立療養所清瀬病院付属高等看護学院
石沢 きよ子
,
飯島 和惠
,
井原 正子
,
上野 増美
,
小野 ヤヨイ
,
小沢 キヨ子
,
川又 ヨシヱ
,
関根 春江
,
高野 セキ
,
立花 静子
,
長崎 久子
,
難波 照子
,
藤枝 よし
,
星 フサヨ
,
三浦 カジ
,
三沢 いちゑ
,
柳田 マチ
,
山崎 都市子
,
山本 順子
pp.49-52
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910668
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低い灰色の空に雑木林が大きく手をのばし,静寂の中にも人の心を惹きつける武蔵野の冬も,いつの間にか絹糸の如く降る雨の中に,若葉も日毎に伸び,柔かな春を感じさせてくれる今日この頃—又晴れた日々には,遠く富士をそして周囲の畑では,麦は青々と日に向かい,その遠近から雲雀の声を聞く時,思わずふと立止つて耳をすます。静かな松林に囲まれたこの清瀬学院,これが私達の待ちに待つた進学コースの学院なのである。職場にあつた過去3年間,同じ看護の道を歩み乍ら,軽んじられ,認められなかつた為に,卑屈にならざるを得なかつた私達であったが,しかし門は開かれたのだ。その卑屈さを吹き飛ばし,底に激しい情熱を秘めて,私達は看護学や基礎医学それに一般教養を,それらと臨床とを噛み合わせ乍らより深くそして広く学ぼうと努力しているのである。
3年の実務は,現在の私達にとつては,生きた資料であり,一人一人が貴重な体験を持ちよつて,教科書で得られない現実の看護の姿が検討され,そこから出発して,勉強が続けられるのである。お互いに批判し,考え,より良い看護技術を知識を,精神を求めて止まない私達である。自己に悩み,改めて団体生活の難しさ,尊さを学び,混沌とした中に半年を過して来たが,今溢れる様な春の息吹きと共に,19の芽は固い土の割れ目から背伸びを始めたのである。
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