特集 老人病の知識と看護
老人特有の疾患
6 老年期に於ける呼吸器疾患
北本 治
1
,
早川 道夫
2
1東大
2東大伝研付属病院
pp.64-72
発行日 1957年10月15日
Published Date 1957/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910445
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池の諸臓器と同じく,呼吸器系器官も年月と共に退行性変化を主徴とする所謂老化現象が起り,それに従つて青壮年期のそれとは自ら異る疾患群が主要なものとして浮び上つてくる。尼子によれば老年者の死因分類中呼吸器疾患は1514名中449名29.7%で第1位を占める。疾患別に見ると肺炎が28.7%を占めて第1位,結核は7.5%で第2位の心衰弱20.3%についで第3位を占めている。以上の様に呼吸器疾患は老人に於ては極めて重要なものであり,呼吸器の老化と各疾患との関連,病理発生,診断,治療の面で尚不充分な点が少くないが,平均寿命が延長し老年病が重要な問題として取上げられる様になつた昨今,これらの面でも格段の進歩が望まれる。さてここでは紙数が限られている為老年期呼吸器疾患の重要なもの2,3についてのみ簡単な展望を試みるにとどめる。
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