特集 老人病の知識と看護
老人の心理
金子 仁郎
1
1大阪大学
pp.20-27
発行日 1957年10月15日
Published Date 1957/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910439
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まえがき
われわれ人間は,すべての生物と同様に,老衰し,更には死滅するということは,のがれ難い運命である。老人になると,眼が見えにくく,耳も遠くなり,腰も曲つてきて,身体の諸機能が衰え,いわゆる老衰現象を示すようになるが,精神機能も同様に老人性変化を示すようになる。
人間は生れつきの遺伝的な素質をもつて出生するが,これが環境の影響をうけて,成長し,発達し,そして幼年期,少年期,青年期,成年期をすぎてゆくが,次いで更年期,老年期と逆に衰退の途をたどるのである。この人生の各時期には,それぞれ身体的にも,精神的にも一定の特徴が認められるのである。
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