講座
ナースのための医学概論(2)—ナースの学習を誘導する基本思想は何か
藤本 省一
1
1京都第一日赤
pp.21-25
発行日 1957年3月15日
Published Date 1957/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910296
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〔精神身体医学の新しい解釈〕
1.まえがき
医者やナースの患者に対する考え方,従つて言葉使い,態度,応接等の全てはその人の思想から生れて来る。此の問題は過去の看護学に於いてはヒユーマニズムの立場から解れて来た。併し此の様な説明の仕方は極めて唯心的で非常に物足りぬ感を与えたばかりでなく,病人に対する態度の修練を軽視して技術を偏重する傾向を生んで来た。その結果ナースは医者の医療行為の介補者であり,従属者である如き感を与え,戦後各方面に米式の考え方が採用されて以来,ナースの立場は非常に向上し,ナースは医者と対等の独立した職業であることが強調されているにも拘らず,未だ封建的な旧い殼を脱しえない傾向が濃厚である。私は此の原因はナースの技術や学習を誘導している根本思想が把握されていないことにあると思う。この根本的な思想とは精神身体医学を正確に理解し此の思想をもととして患者に接し,患者を対照とする職業なるが故に修養と鍛練とに努力せねばならぬと考えるので,ナースの立場からする精神身体医学の解訳の問題を第2講として論じてみたいと思う。
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