疾患と検査値の推移
乳癌
杉山 和義
1
1杉山クリニック
pp.387-393
発行日 2013年5月1日
Published Date 2013/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103917
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疾患・病態の概説
乳房は母乳を作る乳腺と,乳汁を運ぶ乳管,それらを支える靭帯・脂肪などの間質組織,これらを覆う皮膚からなっている.乳腺・乳管・乳頭部皮膚より生ずる悪性腫瘍が乳癌であるが,その約80%は乳管由来の乳管癌である.乳癌は現在のわが国において女性に最も多い癌として注目されている(図1).
統計上乳癌罹患率は40歳代後半から50歳代前半が最も高くなり,その後は次第に低下する.乳癌の発生には女性ホルモン(主にエストロゲン)が深くかかわるとされ,経口避妊薬の使用や,閉経後のホルモン補充療法によってリスクが高くなる可能性がある.また,近い親族(母親,姉妹,娘)に2人以上乳癌の家族歴がある場合,発癌リスクが5~6倍になるとの統計があり,定期検診の推奨と乳癌の遺伝子検査が考慮される.乳癌遺伝子はBRCA1とBRCA2が現在同定されているが,いずれか1つの遺伝子をもつ女性が乳癌になるリスクは極めて高く,80歳までに50~85%の確率で癌ができると推計されている.
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