今月の主題 癌治療の最前線
問題となる癌の治療の実際
乳癌
渡辺 弘
1
1聖マリアンナ医大第1外科
pp.1144-1145
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207321
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乳癌の治療法としては,手術療法,放射線療法,化学療法,内分泌療法などが行われているが,その効果の確実性においては手術療法にまさる治療法はない.
手術方法においては,Halsted-Meyer(1894)により確立された定型的乳房切断術が現在まで多くの外科医により施行されてきたが,最近では,胸骨傍リンパ節郭清を伴う拡大根治手術が提唱され,また一方では,逆に,胸筋非切除乳房切断術や単純乳房切断術+放射線療法など,手術の縮小化に賛成する研究者も現れてきた.事実,検査方法や診断法の進歩,患者の知識や自己検診法の普及,集団検診などにより,直経2cm以下の早期乳癌の発見も増加している.早期乳癌に対する定型的乳房切断術では5年生存率90%,10年生存率80%という好成績をあげているが,術後の機能障害も無視しえない状態であり,手術術式を縮小する気運が高まってきている.そこで乳癌の手術療法をはじめ,他の治療法の問題点を考察してみたい.
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