特集 乳児の哺育と看護
〔Ⅰ〕健康児
身体的発育からみた乳児の問題
内藤 寿七郞
1
1愛育病院
pp.26-61
発行日 1956年4月15日
Published Date 1956/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910096
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I.乳児の栄養
小児にとつては栄養の問題が特に大切であります。例えば戦争前から既に小児には栄養失調症があつた。当時成人にはその様なことはなかつたのです。栄養問題は育児のみならず,小児の看護治療には切離すことが出来ない問題であります。その栄養には,病気になつた子供の栄養とそれから健康児の栄養とが考えられなければならない訳です。健康児の栄養も亦日常小児を取扱うものは知つておく必要があります。更に又少し異常のある子供の栄養が殊に大事だと思いますので,私は特に力を入れて述べたいのは異常のある,即ち充分栄養効果の上がらないような子供に対する栄養のことです。或いは何かしらん食餌摂取によつて消化器なんかが影響を受けやすい。例えば吐いたり,下痢を続けたりするような子供の栄養について,或いはその他皮膚疾患例えば,湿疹の出来ているそういうものの乳児の栄養というものについて自分の考えを述べてみたいと思います。
熱所要量という問題:これは昔から言われている通り別に変ることもありませんで,乳児時代は体重1瓩当り110カロリーであるし,それから1年から3年位迄は90〜100カロリー,4年〜6年は80〜90カロリーというように段々と体重1キロ当りの所要量に減つて行く。そのカロリーを構成する食物の種類の中で,蛋白質の重要性ということは勿論皆が知つている。殊に成長期の乳幼児に於いては動物性の蛋白質が重要である。
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