研究
乳児の身体的発育判定法—保健指導の新しい試み
山下 徹
1
,
松谷 芳子
1
,
武山 恒男
2
1東北大学医学部産婦人科
2仙台日赤病院産婦人科
pp.54-56
発行日 1964年8月1日
Published Date 1964/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202816
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はじめに——乳児発育観察上の盲点——
新生児期および乳児期の身体的発育の観察でもっとも重要な指標となるものは体重であることは論をまたない.児の発育は養育方法,疾病などによっても左右されるであろうことはもちろんであるが,このような環境因子にもまして重視すべきであるのは出発点,すなわち生下時体重である.出発点が異なればその後のコースも異なるだろうことは容易に想像できる.
新生児期の発育観察に対しては,九嶋・安達の発育曲線,未熟児に対してはHoltの曲線が発表されており,それぞれの生下時体重の児の体重増加状態の標準として観察判定できるようになっている.ところが乳児期におけるものとしては,栗山・吉永氏,斎藤潔氏および厚生省発表の数値など(第1表)があるが,これらはすべて標準体重で生まれた児の標準発育を示す数値と見るべきものであって,生下時体重の大小はまったく考慮されていない.
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