Medical Scope
胎児の身体的発育の話題
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.876
発行日 1982年10月25日
Published Date 1982/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206109
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第18回日本新生児学会が7月16日から3日間,大阪市のフェスティバルホールで開催されました。このなかで,私が座長をつとめた胎児のセクションのなかから,胎児の身体的発育をめぐる話題を2つお知らせしようと思います。
1つは妊婦診療のときに胎児の体重を推測するのには,何を基準とするのがもっとも正確性があるかという議論です。この問題に関しては今までも数多くの方法が考案され論じられてきました。最近では,超音波断層法が電子スキャンで非常に普及してきましたので,どうしても,胎児診断にはこの超音波断層法が利用されることになります。一般的には,超音波断層法による胎児大横径BPD(biparietal diameter)の計測がどこでも行なわれ,これにより,大体の胎児の体重を推測していることでしょう。しかし,この胎児の大横径計測値からより,もっと正確に胎児の体重を推測できるバロメータがあることが,防衛大学の産科婦人科学教室の研究で確かめられました。それは胎児の腹部計測といって,腹部のタテ,ヨコの長さを計測する方法です。胎児の腹部の大きさは,胎児の肝の下側にある静脈管(アランチウス管)が超音波断層像でよくみえるので,これを中心として計測します。むずかしい計算式は省略しますが,胎児大横径から推測した胎児体重より,もっと正確に胎児体重を求めることができたのです。
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