特集 母と子をまもる保健婦
乳幼児の身体的精神的発育について
新井 清三郎
1,2
,
磯部 裕子
2
1東北大学小児科
2仙台市小児精神衛生相談所
pp.35-43
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201857
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
"這えば立て,立てば歩めの親心"と古歌にもあるように,日々子供に接する者は誰でもその健やかな発達を願つている.この親の願いのように子供はある時期が来れば這い,立ち,歩くといつた風にみんな同一の発達過程を通つて成長していくように思われる.しかし一人一人が異つた顔かたちを持つていると同様にその発達も一人一人異つている.また不幸にして種々の障害のために全く偏つた発達をする子供も沢山いる.そこで先ず正常な,基準となる発達を知る事が必要となつてくる.我々は本文において写真で幾つかの実例を示しながら発達の基準を述べていこうと思う.
我々は乳幼児の発達状態を,乳幼児自身の反応即ち行動を通して知る.反射的なものであつても,自発的なものであつても,又自然的なものであっても,子供の総ての反応(動き)を行動と呼ぶ.まばたきも一つの行動であり,玩具に向つて手を出すのも一つの行動であり,人に微笑するのも同様に行動である.身体的な発達だけではなしに,"心"の発達即ち精神的な発達も行動を通して知る.
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.