Student's page 北海道大学附属看護学校
楽苦書抄—或る男子看護学生の脳波より
泉田 昭一郞
pp.47-49
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910060
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生まれよ保健士
隆一君,愈々此の3月には卒業ですね。中学文科コースを選んだ君が僻地の文化向上のために,進んで赴任する決意のあることを知つて,大変頼もしく感じています。今日の日本の文化進展度は都市に於いて著しく高く,各種の文化施設,文化的な集会の殆んどが都市に集中されて居り,地方文化が立遅れの傾向にあることは憂うべき次第です。世の識者達は地方文化の向上を!と口では叫びますが,進んで之を実行に移す人は甚だ少いようです。君の若さ,君の情熱,君の明敏な頭脳は地方文化の昂揚にはどれ程役立つか知れません。君の忠告を振切つて,現在の生活に飛込んだ僕ですが,君の主張には諸手を上げて賛成です。
医師の不足,看護婦の不足等々,医療の面でも地方の人々は惨めな状態におかれています。急病人だ!それ医者だ!と云つても,何里もはなれた医師のいる市街地迄病人を運ぶか,医師を迎えるかするが,長時間を経過し手遅れとなる場合等まゝ見られることです。
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