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感受性
曾野 綾子
pp.37-39
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910056
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小説など書く者の中では,私は極めて感受性の鈍い方である。夜もよく眠れるし,自分の作品をケナされてもさしてショツクを受けないし,ほめられれば嬉しがる。こうお人がよく出来ていては,いい作品が書けそうには思われない。
しかしこういう言い方は本当は正しくないのである。何故といつて,感受性というものは,決して数字でもつて,或は比較級を用いて,その強弱を現せるものではないからだ。私と,私以外の人の感受性を比べる場合には,厳密に言つて,質の差で言い現す他はないのである。
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