Japanese
English
綜説
カルシウム感受性
Calcium Sensitivity
梶原 秀俊
1
,
栗原 敏
1
Hidetoshi Kajiwara
1
,
Satoshi Kurihara
1
1東京慈恵会医科大学生理学講座第2
1Department of Physiology II, The Jikei University School of Medicine
pp.267-275
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900066
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はじめに
心筋の興奮収縮連関において細胞内カルシウムイオン(Ca2+)は中心的な役割を果たしている1)(図1).心筋収縮は細胞内Ca2+濃度に依存して変化し,同じ細胞内Ca2+濃度でもCa2+に対する収縮蛋白系の反応が異なるために,収縮力が変わる場合がある.このような場合,Ca2+に対する収縮蛋白系の応答性(responsiveness)が変化したと表現される2).Ca2+応答性はCa2+がCa2+受容蛋白,トロポニン(Tn)に結合する過程だけでなく,収縮発生に至るまでの他のステップに原因があっても変化する.
Ca2+とTnが結合する過程は,Ca2+が細胞内に増加してから収縮が発生するまでの中心的なステップであり3),Ca2+に対するTnの親和性は収縮を規定する要因である.したがって,Ca2+に対するTnの親和性が厳密な意味でCa2+感受性といわれる2).
本稿では,心筋の収縮発生におけるCa2+感受性変化の生理学的意義と,それに影響する種々の因子について考察する.
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